輪島塗に使われる素材の特徴を知っておくと、食器などの漆器を購入するときに役立ちます。輪島には漆をはじめ、漆器に必要な素材が豊富にあることで知られています。
●輪島塗の原型は木
輪島塗の原型となるのは、ケヤキ、あすなろ、朴などを使用した木です。この原型を木地といい、漆を塗る前の段階です。木地に使われる朴は特に耐久性が高く、様々な加工を施しやすいという特徴があります。そのため、輪島塗を制作する際に朴を用いて木地が作られることも多いです。木地に使用される木材は、丸太の状態で3年ほど天日干しされたのち、さらに日の当たらない倉庫の中で5年〜最長20年ほど寝かしています。漆器は漆の美しさが大きな特徴として挙げられますが、漆を塗る前の段階から素材の厳選があってこそ、美しい漆器が成り立つのです。
●漆器に塗られる「漆」
そもそも漆とは何なのか、詳しいことはわからない…という方も多いのではないでしょうか。漆器を仕上げる際に木地に塗られる「漆」は、漆の木の樹液です。樹齢15年ほどの漆の木から採取される天然の素材であり、とても貴重です。
●下地に使用される珪藻土
下地に使用されるのが珪藻土です。輪島市の小峰山から採れる珪藻土を焼成粉末にしたものを「地の粉(じのこ)」あるいは「輪島地の粉」といい、これに漆がきれいに浸透するのです。下地として塗るときは米糊に漆を混ぜたものと合わせて、地の粉を使うという特徴があります。
●「布着せ」の布
輪島塗には「布着せ」という工程も含まれます。下地を塗るときの工程のひとつで、摩耗しやすい部分に布を張り、補強するという目的があります。使用される布は麻布や寒冷紗などで、漆や木地と同じく天然の素材が使用されています。
このように、輪島塗には様々な天然素材が使用されています。自然から採れる素材を活かした漆器の魅力を知ることで、輪島塗の楽しみ方も広がるでしょう。